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東京地裁令和4年12月22日判決-統理の指名は無効と判断!
~原告側は判決を不服として控訴の構え~

2022-12-23 (2)
令和4年12月22日、東京地裁(民事第8部)は、神社本庁統理から指名を受けて総長に就任した芦原理事が代表役員たる地位確認を求めた訴訟において、原告である芦原理事の請求を棄却する判決をした。
これはすなわち、後任総長の就任未了を理由に、田中前総長が、庁規の「なお在任」規定を理由に総長の座に居座ることを、事実上許容したものである。
判決は、理由中の判断において、「総長の選任に関し、役員会が議決により次期総長を決定し、それに基づいて統理が次期総長を指名することが必要」とし、「鷹司統理が原告(芦原理事)を次期総長に指名したとしても、役員会が議決により原告を次期総長に決定していない以上、原告は、総長に就任しておらず、被告(神社本庁)の代表役員の地位にはないというべきである。」と述べている。
東京地裁判決は、法人運営において統理を補佐すべき立場にある総長や、法人の事務決定機関である役員会を、神社本庁を総理し代表する立場にある統理の上位に立たせようとするものであるが、
これは、神社本庁の基本的規範たる『神社本庁憲章』を無視し、神社本庁庁規の解釈を大きく見誤ったものであって、神社本庁のあり方を根本的に変容させかねない不当な判決と云わざるを得ない
原告となっている芦原総長には、直ちに控訴してこの不当な判決を是正し、神社本庁正常化の道筋をつけていただくことを期待したい。

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この判決を受けて「花菖蒲ノ會」は以下の声明を発している。

【東京地裁判決に対するコメント】

① 裁判所が当方の主張を理解できなかったことは遺憾この上ない。不当と考える。判決理由を精査せねばならぬが、控訴の必要があろう。

② 争点である統理の総長に対する優位性の問題は、神社本庁の体制の根幹に関わる重大な争点であり、明確に決着をつけねばならない。本案訴訟によることはもちろん、神社本庁評議員会その他の場において、一層の議論喚起と、明確な意思決定を目指す活動を展開したい。

③ 暫定的に在任する総長のもとで、不透明にして、恣意的・独断的な運営が進んでいる。これを解消すべく、神社界の自浄作用が起動するための行動を当会としても継続せねばならない。

【本件紛争に対する基本姿勢】

① 神社本庁の自浄正常化と、それによる神社神道の信頼性の回復・確保が当方の主眼とする目標である(単に裁判の勝訴ではない)。

② 本庁の現執行部の行動には、透明性に欠け、恣意的独断が多分にみられるので、この状況の早期改善を目指す。

③ 統理による総長の指名は、社会的信頼性のある人材であることを確保するために担保された制度であり、単なる多数派による専断を否定するうえで不可欠なものである。

④ 神社本庁草創期よりの慣例であり、「神社本庁憲章」制定に際しても確保されたこの方針は、今後も厳守されるべきである。

⑤ 総長ならびに理事会の決定を、統理の権限に優越させようとする姿勢は、神社本庁の存在の意義を根底から覆すものであって全く容認できるものではない。かような疑念を払拭し、本来の神社の姿と道統を護持し、また新たな時代にむけて再構成すべき活動の展開を期する。

⑥ 統理の地位は、神社本庁憲章と神社本庁庁規とが、上位及び下位規範の体系構造にあることにより、単なる象徴的な地位でなく、神社本庁を総理し、代表する権限を有するものである。

⑦ 「総長は役員会の議を経て、理事の中から統理が指名する」(庁規第12条2項)は、統理が自らの補佐役に相応しい理事を総長に指名することができると解するのが自然である。相手方の主張のように「統理の総長指名権も総長の補佐を得て行われるものとし、その責任は役員会が負うことから、役員会の決議に拘束される」こととなると、宗教法人法第18条2項の「別段の定め」として庁規第12条2項の定めをしたことの意味が無くなる。従って、庁規齋12条2項の統理の総長指名権は、庁規第40条5項の「統理のすべての行為」の中には含まれない。相手方の主張は、この統理の総長に対する優越的地位を否定し、総長が統理より優位的地位にあることを主張するもので、到底承認できるものではない。

⑧ 庁規第40条5項は、神社本庁が行う世俗的事項につき統理の無答責を明記したもので、統理の総長指名権は、この世俗的事項ではなく、統理が神社本庁を総理し代表する権限に基づくであって、統理の補佐に相応しい理事を総長に指名できるものである。この理を法廷のみならず、社会的にも明示できるよう、神社界内部にも周知してゆきたい。
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20221223185016

【神社本庁憲章】
神祇を崇め、祭祀を重んずるわが民族の伝統は、高天原に事始まり、国史を貫いて不易である。夙に大宝の令、延喜の式に皇朝の風儀は明らかであるが、明治の制もまた神社を国家の宗祀と定めて、大道はいよいよ恢弘された。
しかるに、昭和二十年、未曾有の変革に遭ひ、皇典講究所、大日本神祇会、神宮奉斎会は、その対応を相議り、神祇院総裁もまた爾後の措置をこの三団体に委ねた。ここに神社関係者の総意によって、全国神社を結集する神社本庁が設立され、神宮を本宗と仰ぎ、道統の護持に努めることとなった。
爾来、神社本庁は、全国神社の包括法人として、庁規を中心に運営されてきたが、今日まで重要な懸案とされてきたのは、精神的統合の紐帯として、基本的規範を確立整備することであった。
よって、ここにその大綱を成文化して本憲章を制定し、以て神祇の祭祀を継承するに遺憾なきを期するものである。

第一条 神社本庁は、伝統を重んじ、祭祀の振興と道義の昂揚を図り、以て大御代の彌栄を祈念し、併せて四海万邦の平安に寄与する。

第二条 神社本庁は、神宮を本宗と仰ぎ、奉賛の誠を捧げる。
2 神社本庁は、神宮及び神社を包括して、その興隆と神徳の宣揚に努める。

第三条 神社本庁は、敬神尊皇の教学を興し、その実践綱領を掲げて、神職の養成、研修、及び氏子・崇敬者の教化育成に当る。

第四条 神社本庁は、総裁を推戴する。
2 総裁は、神社本庁の名誉を象徴し、表彰を行ふ。

第五条 神社本庁に統理以下の役員、その他の機関を置く
統理は、神社本庁を総理し、これを代表する
3 第一項の役員、その他の機関については、規程で定める。

第六条 祭祀は、報本反始の誠を捧げ、古来の伝統と、別に定める制規に従って厳修する。

第七条 神社本庁は、幣帛共進の伝統を重んじ、神社に本庁幣を献ずる。

第八条 神社は、神祇を奉斎し、祭祀を行ひ、祭神の神徳を広め、以て皇運の隆昌と氏子・崇敬者の繁栄を祈念することを本義とする。
2 霊代の神聖は、厳に護持しなければならない。
3 神符、守札等の取扱ひについては、信仰上の尊厳を汚してはならない。
4 一社伝統の故実、慣習、由緒は、尊重するものとする。

第九条 神社は、祭神、社名、例祭日、鎮座地、その他神社存立の基本に関はる事項については、統理の承認を受けなければならない。

第十条 神社の境内地等の管理は、その尊厳を保持するため次の各号に定めるところによる。
一 境内地は、常に清浄にして、その森厳なる風致を保持すること。
二 境内地、社有地、施設、宝物、由緒に関はる物等は、確実に管理し、みだりに処分しないこと。
三 境内地及び建物その他の施設は、古来の制式を重んずること。
四 前号の施設は、神社の目的に反する活動に利用させないこと。

第十一条 神職は、ひたすら神明に奉仕し、祭祀を厳修し、常に神威の発揚に努め、氏子・崇敬者の教化育成に当ることを使命とする。
2 神職は、古典を修め、礼式に習熟し、教養を深め、品性を陶冶して、社会の師表たるべきことを心掛けなければならない。
3 神職は、使命遂行に当って、神典及び伝統的な信仰に則り、いやしくも恣意独斷を以てしてはならない。

第十二条 宮司は、一社の長として、祭祀に管掌し、社務をつかさどり、神社の信仰と伝統の護持に努める。

第十三条 神社総代は、神社の祭祀、信仰、伝統の保持振興について宮司に協力する。

第十四条 神社の氏子区域は、神社ごとに慣習的に定められた区域をいふものとする。
2 氏子区域は、神社相互に尊重しなければならない。

第十五条 氏子区域に居住する者を伝統的に氏子とし、その他の信奉者を崇敬者とする。
2 氏子・崇敬者は、神社護持の基盤であり、斯界発展の母体である。

第十六条 神社本庁の宗教法人法による規則を「庁規」といふ

第十七条 庁規及び規程等は、この憲章に準拠しなければならない

第十八条 この憲章の改廃については、統理の発議により、評議員会において、出席評議員の三分の二以上の賛成を必要とする。

第十九条 この憲章の施行に関し必要な事項は、庁規及び規程を以て定める。
附 則
1 この憲章は、昭和五十五年七月一日から施行する。
2 宗教機能に関する規程(昭和二十七年一月二十七日規程第一号)は、廃止する。
この憲章施行の際、庁規及び従前の規程等は、この憲章に基いて定めたものとみなす