『憲章参照されず』訴え
神社本庁地位確認裁判 控訴審口頭弁論で芦原氏-判決は6月14日
(中外日報 令和5年5月10日号)
5月1日に開催された控訴審第1回口頭弁論に関する記事が、中外日報に掲載された。
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庁規の解釈を争点とした昨年12月の一審東京地裁判決に対し、原告側は、「宗教団体としての基本的規範を定めた神社本庁憲章が参照されていない」と批判。「あくまでも宗教団体における『総長』の選任手続の問題であり、法人としての側面に注目した原判決を取り消すべきだ」と主張した。
(中略)
一審判決に対して、原告側は、「庁規の上位規範で、宗教団体としての基本的規範、役員に関する事項を定めた『神社本庁憲章』(憲章)と『神社本庁役員その他の機関に関する規程』(役員規程)が参照されていない」と批判。「役員規程に基づく役員会は、宗教団体としての方向性について協議を行う会議であり、宗教団体の権威である統理が役員会の決定に拘束されるようなものではない」とし、統理による総長指名の重要性を強調。「庁規の解釈による第一審判決が、所轄庁や裁判所による宗教上の役職員の人事介入を禁じる宗教法人法85条などに違反している」と訴えた。
神社本庁側は、「代表役員(総長)の地位確認を求めた訴訟であり、唯一の争点は庁規の解釈だ」とした。『議を経て』の文言の解釈や、統理と役員会の権限分配の観点からの検討について、「一審判決は合理的で『誤りも不備もない』」と指示。「憲章や役員規程には、庁規12条2項を芦原理事が総長と認められると解釈可能な根拠となる事項はないと反論した。
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宗教法人法
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宗教法人法
(解釈規定)
第八十五条 この法律のいかなる規定も、文部科学大臣、都道府県知事及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。
「神社本庁憲章」
たしかに、控訴人が主張するとおり、
昭和55年5月21日の評議員会で議決された『神社本庁憲章』は、
神社本庁に、統理以下の役員その他の機関を置くことを定め、具体的な事項は『規程』で定めることとし、役員のうち、統理は、神社本庁を総理し、これを代表するものとする(5条)一方で、
『神社本庁庁規』を神社本庁の宗教法人法による規則と位置づけ(16条)、『庁規』等はこの憲章に準拠しなければならないとし(17条)、さらに付則において、「この憲章施行の際、庁規及び従前の規程等は、この憲章に基づいて定めたものみなす。」と念を押して、「憲章」の「庁規」に対する優位性を確認している。
「神社本庁の役員その他の機関に関する規程」
さらに、『神社本庁憲章』5条3項に基づき同日成立した『神社本庁役員その他の機関に関する規程』には、
①総長は、「統理の命」を受けて、「庁務を総管」する存在であること(4条)
②役員は、役員会を組織して、庁務の重要事案について審議する審議機関であること(5条)
③神社本庁の理事や監事は、在任中、それぞれ宗教法人「神社本庁」の相当理事及び監事にも当たること(8条)
④神社本庁の議決機関は、評議員会であること(10条)
等が明記されている。