総長人事めぐり高裁で口頭弁論
(神社新報 令和5年5月15日号)
神社本庁の代表役員総長の人事をめぐり、芦原理事がその地位にあることの確認を求めた民事訴訟の控訴審第一回口頭弁論の様子を、「神社新報」が報じている。
記事によれば、5月1日午後2時30分開廷。控訴理由書や控訴答弁書の提出などについて確認のうえ、弁論を終結し、6月14日に判決言渡しを行うことを決めて閉廷。当事者双方の主張の要旨について、次のようにまとめている。
【控訴人(芦原理事)の控訴理由】
原判決は、
①神社本庁の基本規範である「神社本庁憲章」や「神社本庁役員その他の機関に関する規程」が、宗教法人法による規則である「神社本庁庁規」の上位規範であることを無視した結果、
②神社本庁の宗教団体としての本質に着目することなく、宗教法人としての側面だけに着目し、
③「統理」のおこなふ「総長」指名が、宗教団体としての神社本庁の「総長」を選任する行為であって、宗教法人の「代表役員」を選任する行為ではないことを看過しており、
評議員会で選任され、宗教団体たる神社本庁を総理し代表する統理からの信任を得られない者が、統理の命に従って庁務を担う総長の地位にあり続け、統理はそのような者による補佐を受け続けなければならないという異常事態を生じさせており、宗教団体としての自治・自律が著しく阻碍されている。
【被控訴人(神社本庁)の答弁書】
控訴人はあたかも原判決が重大な考慮漏れをしているかのような印象を与えるため、神社本庁憲章への言及がない等と主張しているが、実際には重大な考慮漏れなど存在せず、原判決は庁規第12条第2項(「総長は、役員会の議を経て、理事のうちから統理が指名する」)の解釈をおこなうにあたり必要かつ合理的な事情(文言解釈及び権限分配という観点)を正しく考慮し、妥当な結論を導いている。
控訴理由書における控訴人の主張には庁規第12条第2項の解釈論に影響を与えるような新規事項は含まれておらず、控訴理由書の内容を踏まえても原判決の結論の正当性は揺らがない。