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「神道政治連盟」はこれでいいのか?
 その活動に疑問の声も
(ニューヨークタイムズ 令和5年5月17日)

The Religious Right’s Hidden Sway as Japan Trails Allies on
 New York Times May 17, 2023

広島でのG7サミットが近づくにつれ、日本には差別撤廃を明確に打ち出すようにとの圧力に晒されているが、 神道政治連盟はさらに敵対的なメッセージを広めてきた。

何百万もの日本人にとって、神道の信仰は、スピリチュアルな実践というよりも文化的実践である。 毎年 1 月には、新年の幸運を祈るために神社に多くの人が集まる。 家族は子どもたちの人生通過儀礼のお祝に、また多くの人が恋愛運、受験運、就職面接のお守りを求める。
これらの儀式が何らかの固定された教義に結びついていると考える人はほとんどいない。土着の宗教である神道には公式の教義や経典がない。 しかし、一般的な日本人は知らないが、神道政治連盟が同性愛者やトランスジェンダーの権利について、保守的なイデオロギーのメッセージを、国会議員らに広めようとしてきた。
日本は主要7カ国(G7)の中で同性婚を合法化していない唯一の国であり、外国大使らは今週後半に広島で始まるサミットに向け、平等をより強力に支持するよう日本に求めている。 世論調査では、日本では同性婚に対する圧倒的な支持が示されている。この国で最も影響力のあるビジネスリーダーのひとりは最近、日本が同性婚を制裁対象にしていないことを「恥ずかしい」と述べた。
国会議員らは、神道団体やその他の伝統主義勢力からの圧力を受け、世論に後れを取っており、同性愛者やトランスジェンダーの人々の権利に対する限定的な支持表明さえ合意するのに苦労している。
昨年の夏、神道団体は、主に与党自民党の所属国会議員を対象とした大規模な会合で、94ページのパンフレットを配布したが、その中には同性愛は「後天的な精神障害・依存症」であり 「修復療法」で治る可能性がある、とする講演の記録が含まれていた。
また講演録でも、日本には「組織的な差別はない」と主張し、「左翼活動家がこれを武器として利用する」と「訴訟の勃発」が起こるだろうと警告し、L.G.B.T.Q.理解増進法案の可決に反対した。
今週、自民党国会議員団は、L.G.B.T.Q.の人々に対する「不当な差別があってはいけない」との控えめな文言の法案を承認した。 活動家や野党指導者らは、G7召集に合わせて国会に提出されるKの法案は、2年前に否決された法案より後退している主張している。
学者たちは、神道団体(8万社の神社の包括団体の政治部門である神道政治連盟)による水面下での活動が、社会と政治領域との断絶の原因になっていると指摘する。
神職や参拝者の多くは、政府の政策に影響を与えようとする神道政治連盟の取り組みについて、必ずしも知っているわけでも同意しているわけでもない。
しかし、ドイツのデュッセルドルフにあるハインリヒ・ハイネ大学で現代日本人論を教える川坂和義巨樹は、与党の保守派は「選挙活動において宗教的権利に実際に依存しており、そのような団体の影響力は、同性婚を支持する国民よりもはるかに重視される」と述べている。
神道政治連盟の弁護士、小川尚史氏は、電子メールで、このパンフレットは「団体の見解を直接代表するものではない」と述べた。
しかし、この団体は、ウェブサイト上で、「過度の権利保護」や「家族構造を解体する運動」として同性婚の合法化を求める意見を表明している。・・・・
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