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『花菖蒲ノ會』会報第24号
(令和6年10月20日発行)

花菖蒲ノ會 会報24号_ページ_1
「最高裁の上告棄却を受けて、本庁側は統理に、総長の指名を要求! 判決の趣旨を完全に逸脱した行為を許すな!」

「神社本庁側は、10月8日付で「芦原理事による代表役員の地位確認請求訴訟最高裁決定について」と題する荒井総務部長名による文書を各神社庁に通知して、「役員会が総長を実質的に決定する」「統理の指名という行為も、実質的には役員会の判断で行われる」と判示されたことから、「実質的に新たな総長は既に田中総長に決定」されてゐるとし、「役員会の判断に基づいて田中総長の指名が為される」などと、判決の趣旨を逸脱して統理の指名権を否定する暴挙に及んできました。
また、同通知では、芦原理事の登記申請についても、「神社本庁の事務運営に大きな混乱を齎し、経済的損失を与へた」として、「民事上の責任及び道義的責任は免れない」などと主張してゐます。令和4年4月、職舎売却疑惑と不当な懲戒処分をめぐつて稲、瀬尾両参事の起こした地位確認訴訟に神社本庁が最高裁で全面敗訴した際には、何の反省も謝罪もしないばかりか、「背任は証明されなかつた」などと強弁して責任を放棄し続けた田中氏側の対応と比較すると、とても同一の役職員が発してゐる主張とは思へません。
さらに同通知は、一連の裁判の組織的な検証も経ないまま、一方の当事者である「神社本庁代理人弁護士 小川尚史」名の「総長問題に関する判決確定についてのご説明」と題する4頁の解説文を添付してゐますが、その中で小川氏は、判決確定により、「10名の呼びかけ世話人をはじめとする花菖蒲ノ會の関係者らは、神社界に深刻な対立と混乱をもたらした責任を厳しく問はれる」ことになるなどと、訴訟代理人の立場を逸脱した主張まで加へてゐます。
脅しともとれる内容ですが、評議員会を前に、評議員各位の疑問を封じようと、必死なのかもしれません。芦原氏による代表役員の登記申請は、統理から総長の指名を受けたにも拘らず、事務当局が統理の命(鷹司統理が各職員に「指示書」を交付)に反し、芦原氏の代表役員就任の手続きをサボタージュしたことによる正当な行為でした。
判決の結果は厳粛に受け止めなければなりませんが、統理の指名が効力を持つには、役員会の議決が必要としてゐるだけで、統理の総長指名が議決に拘束されることはありません。評議員会の下部組織に過ぎない役員会が勝手に総長を決め、宗教団体神社本庁の長である統理に対し、「これに従へ」などと要求するのは、誠に無礼な話です。ましてや、職員や代理人弁護士が、判決の趣旨を超えて、統理に総長の指名を迫るなど、本庁組織の根幹を揺るがす行為です。」
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「●問題の本質はどこに存在するか

総務部長名通知や、小川弁護士の説明には、「神社本庁憲章」のことが全く出てきません。現本庁執行部においては、憲章はあつて無きものであり、憲章が「神社本庁を総理し、これを代表する」と定めた統理の権能も、法人規程である「庁規」のもとに押し込め、代表役員を中心に組織を運営してゆくことを現執行部は目指してゐるのかもしれませんが、これは明らかな憲章違反の行為です。

小川弁護士作成の説明文書の最後に、「本件の経緯」として、令和4年5月18日から今月の最高裁決定に至るまでの出来事が記載されてゐますが、その中に令和4年6月14日付で鷹司統理が、芦原氏を総長に、西高辻氏を副総長に指名したことを踏まへ、今後の業務執行を促す「指示書」を全職員に配布したこととの記載はありません。荒井総務部長他が統理からの指示に従はなかつたことが、今日の事態を招いた根本原因とも言へます。

●問題を自ら大きくしていった現執行部

「統理が田中氏を総長に指名しない理由」で示した通り、一連の騒動は、平成28年に疑惑が発覚した百合丘職舎売却問題に始まります。その時点で職舎売却の経緯を調査し、必要な関係者の処分と謝罪を行つてゐれば、その時点で問題は収まつた可能性があります。しかし事態は、名ばかりの調査委員会を設置して、違法行為をはかつたとの結論を引き出し、それを根拠に、告発文書を作成して内部通報に踏み切つた職員を処分したことから、問題は益々拡大することとなりました。一連の疑惑に対する疑念を明らかにしなければ、問題が解決することはありません。

兵庫県の告発文書を巡る問題は、斎藤知事が不信任決議を受けて失職し、出直し知事選が行はれる展開となりましたが、9月5日に開催された同県議会の百条委員会で、参考人として発言した公益通報問題の専門家である上智大学の奥山俊宏教授は、斎藤知事が告発文書に対し初動の段階で事実無根と弾劾、犯人探しまで指示して懲戒処分に付し、記者会見などで告発文書は嘘八百と発言したことに対し、「知事らの初動は危機管理の視点で全くの逆効果で、火のないところにわざわざ火をつけたようなもの」であり、「告発文書の存在を世の中に知らしめたのは、斎藤知事その人だ」と断じました。

神社本庁の一連の問題も、兵庫県と同様、執行部が疑惑の隠蔽を図ったことで逆に火がつき、拡大していったものです。職舎売却をはじめとする一連の疑惑について、誰もが納得する総括と反省がなされない限り、問題解決は程遠いと言へます。

●鷹司統理の正常化への決意と尽力に関係者が応へるとき

鷹司統理が、田中総長以下、主要な役職員からの有り得ない振る舞ひを受けながら、只管、敬神尊皇のまごもろのもとに、神社界の健全化のために筋を通されてゐることの真意を拝察申し上げつつ、神社界の正常化に向けて、ご関係の皆さまに対し、一層の奮起をお願ひするものです。」