『花菖蒲ノ會』会報第24号
(令和6年10月20日発行)
「●問題の本質はどこに存在するか
総務部長名通知や、小川弁護士の説明には、「神社本庁憲章」のことが全く出てきません。現本庁執行部においては、憲章はあつて無きものであり、憲章が「神社本庁を総理し、これを代表する」と定めた統理の権能も、法人規程である「庁規」のもとに押し込め、代表役員を中心に組織を運営してゆくことを現執行部は目指してゐるのかもしれませんが、これは明らかな憲章違反の行為です。
小川弁護士作成の説明文書の最後に、「本件の経緯」として、令和4年5月18日から今月の最高裁決定に至るまでの出来事が記載されてゐますが、その中に令和4年6月14日付で鷹司統理が、芦原氏を総長に、西高辻氏を副総長に指名したことを踏まへ、今後の業務執行を促す「指示書」を全職員に配布したこととの記載はありません。荒井総務部長他が統理からの指示に従はなかつたことが、今日の事態を招いた根本原因とも言へます。
●問題を自ら大きくしていった現執行部
「統理が田中氏を総長に指名しない理由」で示した通り、一連の騒動は、平成28年に疑惑が発覚した百合丘職舎売却問題に始まります。その時点で職舎売却の経緯を調査し、必要な関係者の処分と謝罪を行つてゐれば、その時点で問題は収まつた可能性があります。しかし事態は、名ばかりの調査委員会を設置して、違法行為をはかつたとの結論を引き出し、それを根拠に、告発文書を作成して内部通報に踏み切つた職員を処分したことから、問題は益々拡大することとなりました。一連の疑惑に対する疑念を明らかにしなければ、問題が解決することはありません。
兵庫県の告発文書を巡る問題は、斎藤知事が不信任決議を受けて失職し、出直し知事選が行はれる展開となりましたが、9月5日に開催された同県議会の百条委員会で、参考人として発言した公益通報問題の専門家である上智大学の奥山俊宏教授は、斎藤知事が告発文書に対し初動の段階で事実無根と弾劾、犯人探しまで指示して懲戒処分に付し、記者会見などで告発文書は嘘八百と発言したことに対し、「知事らの初動は危機管理の視点で全くの逆効果で、火のないところにわざわざ火をつけたようなもの」であり、「告発文書の存在を世の中に知らしめたのは、斎藤知事その人だ」と断じました。
神社本庁の一連の問題も、兵庫県と同様、執行部が疑惑の隠蔽を図ったことで逆に火がつき、拡大していったものです。職舎売却をはじめとする一連の疑惑について、誰もが納得する総括と反省がなされない限り、問題解決は程遠いと言へます。
●鷹司統理の正常化への決意と尽力に関係者が応へるとき
鷹司統理が、田中総長以下、主要な役職員からの有り得ない振る舞ひを受けながら、只管、敬神尊皇のまごもろのもとに、神社界の健全化のために筋を通されてゐることの真意を拝察申し上げつつ、神社界の正常化に向けて、ご関係の皆さまに対し、一層の奮起をお願ひするものです。」