「神社本庁憲章制定の経緯」より
神社本庁評議員会(昭和55年5月20~21日)議事録
『神社本庁憲章』 は、約4年間にわたる慎重な審議のうえ、昭和55年5月21日の評議員会において、全会一致で可決成立した。
その評議員会の記録の中から重要な部分を抜粋する。
◎昭和55年5月20日評議員会本会議1日目 「神社本庁憲章(案)審議特別委員会」に審議を付託することを決定
◎神社本庁憲章(案)審議特別委員会
(加藤委員)憲章では統理が本庁を代表するとあるが、庁規で総長が代表することとの関連について。
(庶務部長)宗教法人法は、先に存する宗教団体に法人格を与へるのが本来の目的である。本庁の場合は法人法に基づく庁規が先にできてしまったわけだが、既に法人の代表を総長に移したので、憲章では団体としての最高の代表役員として統理を規定する。
◎昭和55年5月21日 評議員会本会議(3日目)
(奥評議員)第5条にある「統理は本庁を総理し、これを代表する」と、庁規第7条にある「総長は、宗教法人神社本庁の代表役員とし、法人を代表する」と、二つの代表があるが、まぎらはしいのではないか。」
(副総長) 統理は信仰団体、いはゆる教団としての代表であり、総長は法的にいふ宗教法人の代表である。裁判などで、統理が直接訴へられることのないよう配慮してあることを御理解戴きたい。
(奥評議員)説明を了解したが、多分に誤解されやすいので、解説書では十分配慮されたい。
(議長) 質疑を打ち切り討論を省略し、採決することに異議ないか。(異議なし) 採決にウルツ。原案通り採決ることに賛成の方は起立願ふ。(全員起立) よって、議案第21号は原案通り可決した。
◎昭和55年5月21日 評議員会本会議(3日目)
神社本庁教学研究室編「神社本庁憲章の解説」より(昭和55年9月1日)
評議員会において、奥評議員からも「多分に誤解されやすいので、解説書では十分配慮されたい。」との要請があったことを受けて、神社本庁は『神社本庁憲章の解説』なる解説書を発行し、憲章第5条の意義について、次のように丁寧に解説を加えている。
********************************************
宗教法人「神社本庁」の代表役員は総長であり、法人を代表する(庁規第7条)。それに対して、宗教団体としての神社本庁を「総理し、これを代表する」のは統理である。
統理は、本憲章第9条に規定した承認の外、神職の身分、階位、進退、懲戒を始め広範かつ最高の権限をもつものであるから、本憲章においては「総理し」といふ用語を使用したのである。
********************************************
この解説書は、神社本庁の神職であれば誰もが所持し、これに基づいて講義・研修を受けて神職資格を取得したはずである。
ところが、田中総長をはじめ全国の指導的神職や神社本庁の職員の中には、この基本的な事項を忘れている者もいるようだ。
たいへん嘆かわしいことである。
ところが、田中総長をはじめ全国の指導的神職や神社本庁の職員の中には、この基本的な事項を忘れている者もいるようだ。
たいへん嘆かわしいことである。