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二つの事件は意外な地下茎で繋がっているのか?
「靖国宮司の天皇批判 ー時の足音ー」(伊藤智永)
(毎日新聞デジタル 政治プレミア)

7-58 靖国宮司の天皇批判 _ 時の足音 _ 伊藤智永(抜粋)

(前略)・・・小堀氏は伊勢神宮の筆頭祢宜(ねぎ)まで務めたベテランで、2013年に行われた20年に1度すべての社殿を建て替える式年遷宮の広報副本部長の一人だった。広報本部長は神社本庁の田中総長である。今年2月、靖国の徳川康久前宮司が「一身上の都合」で定年前に退任した。メディアでの「賊軍合祀論」が責任役員の不興を買った事実上の解任とも言われたが、他に神社の内情も絡んでいたようだ。

旧華族の親睦団体「霞会館」は後任の推薦を断り、困った靖国が神社本庁に頼んで、伊勢を定年退職していた小堀氏に白羽の矢が立った。田中氏が人選に無関係なはずがない。むしろ「独特の理論家でもある小堀氏なら、天皇と靖国の冷却関係を打開する戦略をひねり出すかもしれないと期待したのでは」(神社関係者)ともいわれるが、裏目に出た。結果的に、田中氏も面目を失した。

宗教法人・神社本庁の田中恆清総長
宗教法人・神社本庁の田中恆清総長

それでなくても神社本庁が関与する有名神社の宮司人事については、昨年12月の東京・富岡八幡宮の殺人事件といい、裁判になった大分県の宇佐神宮といい、各地でトラブルが目立つ。田中氏の退任騒動は、本庁職員の社宅を売った不明朗な不動産取引を巡る内部の突き上げに音を上げながら、「盟友の打田文博神道政治連盟会長らに活を入れられて気を取り直し」(本庁関係者)、10月24日の本庁評議員会を乗り切り、退任白紙化を目指しているようだ。10月22日付神社新報で鷹司尚武統理は「然るべき時期に辞表の提出があるものと思ふ」と促しているが、さてどうするか。

靖国の広報にしては異例な小堀氏辞任の素早い報道発表は、田中氏が自らへの退任圧力になりかねない火の粉を払う効果が読み取れる。二つの事件は、意外な地下茎でつながっていると見るべきかもしれない。

毎日新聞デジタル 政治プレミアより抜粋