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取材"考"記ー神政連のカネ 出入り公表すべきだー
神社本庁を主導・国会議員とのパイプで発言力
(朝日新聞 令和3年4月30日夕刊)

朝日新聞R3.4.30取材考記
取材”考”記ー神社本庁を主導・国会議員とのパイプで発言力
神政連のカネ、出入り公表すべきだ(藤生明)
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夕刊での連載「神社本庁を考える」(12日~16日)で、揺れる神社界の内側を追った。上層部による「疑惑」を告発して懲戒処分を受けた元幹部2人との裁判、相次ぐ有名神社の神社本庁離脱……。

「政治への接近が神社界をおかしくした」。そんな声を数多く聞き、私が注目したのは神道政治連盟(神政連)だった。

神政連は1969年結成。憲法改正などに取り組んできたが、95年、政治団体の解散を旧自治省に届け、国民運動の推進団体を名乗り始めた。「特定の政治家や政党に政治献金をする政治団体としての活動はしていない。そのため解散届を出し、国民運動を展開している」(神政連事務局)というのだが、果たしてそうか。

何より憲法改正運動は政治そのものだ。しかも神政連が推す有村治子参院議員(自民)の資金管理団体の収支報告には、政治資金パーティー収入として「2019年6月13日 神道政治連盟 50万円」の記載があり、神政連事務局の説明とは食い違う。

政治団体でなくなった神政連は、政治資金収支報告書を出す義務から外れる。しかし「政治連盟」を名乗り続け、「実態も解散以前と同じ」(神政連関係者)ならば、政治団体に戻り「カネ」の出入りを公表すべきだろう。

90年代、神社本庁総長に神政連の会長経験者が初めて就くと、神政連の幹部が重用される流れができた。「以前は信仰と政治のすみ分けがあった」と話す神職たちによると、国会議員との関係を背景に、関係団体にすぎなかった神政連の発言力が増し、本体である神社本庁の主導権を握ったという。現在の総長、副総長も神政連の大幹部だった。

聖と俗の境界線をどう引くか、どうバランスを保つか――。政治に深く関わってきた複数の新宗教教団幹部たちから、こんな趣旨の嘆きを聞いたことがある。「信仰は妥協なき純粋な世界。清濁あわせ飲む政治はそんな清らかな世界を汚す。距離の取り方が難しい」

問題意識を共有するという神政連国会議員懇談会は安倍晋三会長のもと約300人からなる。
神社界から目が離せない。
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https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S14890300.html