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兵庫県知事のパワハラ疑惑から考える『神社本庁事件』
「内部告発」「公益通報」「犯人捜し」「真実相当性」

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兵庫県知事のパワハラ疑惑に関連して「公益通報」「犯人捜し」「真実相当性」などのキーワードがメディアに溢れているが、そのリーディングケースとなったのが『神社本庁事件』であることはご承知のとおりである。

去る9月5日に開催された兵庫県議会の百条委員会は、斎藤元彦知事に関する内部告発への県の対応を検証するため、公益通報に詳しい奥山俊宏・上智大教授参考人として見解を聞いたが、教授は、県が告発を公益通報として扱わずに告発者を懲戒処分としたことは、公益通報者保護法に違反するとの見方を示している。
その奥山教授は、著書『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実』において、以下のように『神社本庁事件』を詳しく紹介している。

トップのモラル欠如、無反省、そして居座り。。。兵庫県議会は百条委員会を開催して徹底的な調査を行い、懸命に、組織としての自浄作用を働かせようとしているが、神社本庁では未だに組織内部における”総括”すらなされていないようだ。

自浄作用が働かない組織は腐敗を免れない。


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『公益通報者守るには-犯人捜し、不利益処分相次ぐ』
(読売新聞令和6年9月18日朝刊)

読売新聞大阪版9.18付朝刊

『まるで自分のときと同じだ』。全国の神社を束ねる宗教法人『神社本庁』職員の稲貴夫さん(64)(川崎市)は、兵庫県知事をめぐる問題をそう感じている。
裁判記録などによると、稲さんは神社本庁の総合研究部長だった2016年12月、幹部が不正な不動産取引に関与したとする疑惑を文書で告発した。すぐに稲さんを含む職員らへの事情聴取が始まり、17年8月、懲戒解雇された。『根拠がないまま、幹部を誹謗中傷した』ことが理由だった。
稲さんは同年10月、解雇無効を求めて東京地裁に提訴。本庁側は裁判でも『誹謗中傷』『クーデター目的』などと主張した。しかし、地裁は21年3月の判決で『不正があったと信じるに相当の理由があった』と認定。告発の目的も正当だとして、解雇は無効と結論づけた。
判決は22年4月に確定し、稲さんは同年6月に職場復帰した。近く定年を迎える稲さんは『告発したことに後悔はない』と語る一方、通報者を守るには今の制度では不十分だ』と訴えた。