自浄.jp

トップページに戻る

東京都神社庁職員「金銭上の非違行為」への対応-これで十分か?
(東京都神社庁「東神」令和5年3月号より)

東神協議員会記事_ページ_2
東京都神社庁の職員による横領事件については、月刊「レコンキスタ」令和5年3月1日号および「週刊現代」令和5年3月11日号などで取り上げられていたが、このたび、2月28日に開催された東京都神社庁定例協議員会の議事内容が同神社庁発行の「東神」3月号に掲載されたことから、その概要が明らかとなった。
定例協議員会では、当該職員のプライバシーや個人の名誉に配慮してその氏名までは明らかにしなかったようだが、「東神」2月号の記事から、神社庁の財務担当の主事であり、都内港区に鎮座する由緒ある神社の宮司であることが判明している。


神社界の怒りは爆発!

東神協議員会記事_ページ_3

当該職員は、「金銭上の非違行為」を理由に、1月17日付けで就業規則に基づく普通解雇になったというが、都内各神社から預託を受けた”浄財”を、それを適切に管理すべき財務担当職員が漫然と着服横領したことに対する怒りは尋常ではない。
・なぜ端的に「横領着服」と言わないのか!
・なぜ懲戒解雇処分とならないのか!
・なぜ神職としての懲戒処分を受けないのか!
・なぜ今なお宮司として奉仕し続けているのか!
・なぜ警察に被害届を出さないのか!
等々の批判が大噴出!

批判の矛先は、当該職員だけではなく、神社庁の執行部にも向けられている。
そもそも事件の発覚は昨年12月中旬だという。その時点で確認された着服金額は総額1900万円。当該職員は発覚後直ちに横領着服を認め、その使途について「競馬に費消した」と説明し、さらに12月26日には、経緯を詳細に記した「事情説明書」を神社庁に提出したという。「事情説明書」には、当該職員が、妻との不和、家庭内のストレスから、数年間にわたり、奉務神社や神社庁の会計を蝕み続けてきた事実が記され、妻と小野庁長に対する謝罪の言葉が記されている。

しかし、これは単なる「非違行為」ではなく、「業務上横領罪」にも該当する明らかな犯罪行為である。したがって、被害に遭った神社庁としては、事件の全貌、余罪の有無、着服資金の使途等を明らかにするために、直ちに警察に被害届を出して真相解明を捜査機関に委ねるのが当然であろう。

ところが、神社庁執行部は、役員会で当該職員の解雇を決定したものの、3月の協議員会までこの事実を公表せず、ひた隠しに隠し、神社本庁への報告も行わなかった。自らの子飼いの部下による不祥事を明るみに出したくないという小野庁長の意図を垣間見ることができるが、神社界はそれを許すほど甘くはない。

・数年前、資金繰りに窮した氏子の会社に神社の資金から貸付けた融資が焦げ付いたことを理由に、1円たりとも自分の懐に入れていないにもかかわらず、有無を言わさず懲戒免職となり失職した別表神社宮司がいた(県神社庁の参事と主事が即座に動いて宮司を懲戒手続に乗せ、追放された宮司の後任に、神社庁参事が”天下り”で就任、主事は参事に昇格)。
・神社本庁幹部の背任疑惑を告発する文書を作成したことで「神職として適当でない」との理由で懲戒免職となった幹部職員もいた(後に懲戒無効判決が確定)。
・酒の席で「総長は大バカ者だ」と述べたことで神社本庁から懲戒処分を受けた職員もいた(こちらも後に懲戒無効判決確定)。

都合の悪い者は即座に懲戒処分にかけて排除するのに、可愛がっている部下の不祥事は隠ぺいし懲戒手続にもかけない。
このような恣意的な人事・懲戒処分の運用が横行すれば、神社本庁、神社庁さらには神社界に対する信頼の失墜は避けられない。