神道人が最後に守るべきものは何か?
ー戦後八十年の来し方が今、問われている!
(月刊「レコンキスタ」令和7年9月1日号)

「戦後体制にどっぷり浸かり切った神社本庁の腐敗の歴史は二十年を超えるが、昨年から今年にかけて我々国民は、神社本庁と同じく『魚は頭から腐る』実例を嫌と言うほどみせつけられてきた。本連載で取り上げた事件だけでも、以下のとおりだ。
〇県幹部や前県議など複数の自殺者まで出しながら県政の混乱が続く、兵庫県の斎藤知事問題
〇タレントの中居正広氏の女子アナウンサーに対する性加害事件を巡り、ガバナンス崩壊が明らかとなったフジテレビ問題
〇下請け企業へのパビリオン建設費の未払いが発覚し、閉会後も事態の収拾が見通せない大阪万博問題
この他にも、小池東京都知事の学歴問題を再燃させた静岡県伊東市田久保市長の学歴詐称や、陰湿な暴力事件を隠蔽して甲子園に出場した結果、被害者家族のSNS投稿で大炎上した広島の広陵高校の問題など、枚挙にいとまがない。
いずれの問題も未だ解決には至っていないが、ここまで問題が肥大化し、炎上を続ける理由は、告白者潰しによる隠蔽工作、代理人弁護士を立てての見苦しい時間稼ぎなど、責任ある組織のトップが、関係者も巻き添えにしながらあらゆる手段を講じて、問題の矮小化と責任の回避を図ってきたことにある。
その結果、当初は効果を発揮したかに見えた隠蔽工作も、時を経るに従って様々なボロが見え隠れし、下手の裏工作が新たな炎上を招くという、完全な負のスパイラスに陥っている。必死になって組織防衛の名のもとに責任逃れを続けてきた結果であるが、ここまでくると同情するつもりはないが、哀れとしか言いようがない。」
・・(中略)・・
「六期目となった田中体制下の神社本庁においても、ここにきて意外な事態が漏れ聞こえてきた。その一つは、田中総長のバックボーンである黒幕の打田神道政治連盟会長の子飼いと目されていた二人の参事が、パワハラなどの理由により相次いで失脚したことだ。
一人は、教化部長の職にあったU参事で、職員へのパワハラが発覚して、夏前には部長職を解かれたという。
もう一人が、神道政治連盟の事務局長をしているK参事で、こちらは最近、自宅待機を命じられたようだ。理由は定かではないが、黒幕打田会長の側近でもあることから、よほどの事案ではないかと噂されている。因みに、このK参事は、五年前の秘書部長時代に、部下である独身の女性秘書課長との不倫疑惑が週刊誌にすっぱ抜かれた人物で、今度ばかりは処分は免れないとみられる。
もとより、田中派が仕切る神社本庁は、身内である役職員の保身が優先されるあまり、組織の危機管理は未熟であろうが、打田氏の子飼いである田中派の幹部職員すら処分されるということは、執行部が庇いきれないほどのハラスメント行為が横行しているということだろう。ただでさえ基盤の脆弱な田中体制であるのに、幹部職員の不祥事を繰り返せばどういう結果を招くか、子供でもわかるだろう。危機感の無さにはあきれ果てるばかりだ。
延命の術は長けていても、内実の伴わない田中体制が続く限り、神社本庁に未来はない。この現実の中で、少数とは言えども良識ある役員や正常化への思いの有る評議員、職員が、いかなる行動をなすかに、神社本庁の将来がかかっている。
もはや戦後体制のぬるま湯に浸ったままで、全国の神社が護持できる時代ではない。敬神尊皇の精神に裏打ちされた行動力が発揮されることを期待している。」