「鷹司統理より田中理事を総長に指名した理由を伺ふ
~指名の理由は、諸課題の解決に向けて、斯界一丸となつた態勢を構築するためである!」
『花菖蒲ノ會』会報第26号(令和6年12月25日発行)
令和6年12月12日に鷹司統理が田中氏の総長指名を行ったことについては、既に「神社新報」や「月刊若木」などと通じてご承知のことと思う。
この知らせを受けた神社界には激震が走り、心ある神社関係者は複雑な思いでこの報に接したものと推察するが、この度、統理を支え神社本庁の正常化を目指す『花菖蒲ノ會』の会報が、統理の真意とするところを伝えているので、以下に紹介する。
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■はじめに
鷹司統理は、12月12日に開催された神社本庁の役員会終了後、田中理事を総長に指名されました。統理は10月の評議員会においても、田中氏は総長に指名しないと明確に表明されていたことから、本会では過日、直接、鷹司統理に、この度の真意をお伺いしました。
当然ながら、統理の正常化に向けたご意思はゆるぎないものであり、斯界の未来のために、神社本庁憲章に基づいた本庁の運営が急務であるとのお考えをお伺いしました。
関係者におかれましては、尚一層、神社本庁の正常化に向けて、ご理解とご尽力をお願いするものです。
【鷹司統理に伺う】
Q:10月の評議員会で、田中氏を総長に指名はできないと表明していただけに、大変驚かれた方もいると思います。
「私は統理就任以来、神社本庁が様々な問題を抱える中で、組織が正常化し、公正、公平な運営がなされることを願ってきました。令和4年の役員改選時には、それを担い得る適任者として、芦原氏を総長に指名しましたが、ご承知の通り、裁判での係争を経て、芦原氏の総長就任は叶いませんでした。
先の判決確定後、田中氏側は私に対し、裁判の結果、統理は役員会の議決に従わなければならないとして、田中氏の総長指名を求めてきましたが、私は、今回の確定判決は、統理が総長を指名する権限を否定するものではないとして、指名を拒否してきました。今もその法理は、正しいものと考えています。」
Q:様々な憶測もありますが、真意をお聞かせ下さい。
「この度、私が田中氏を総長に指名したのは、偏に神社本庁の将来を考え、宗教団体の代表者として、組織の分裂状況を回避するためのものであることをご理解下さい。
神社本庁の正常化は私の願いですが、統理一人で出来るものではなく、関係者全員の力が必要です。
しかし、総長選任問題以来、正式な総長が決まらないまま、神社本庁の将来や、そのあり方について議論されることもありませんでした。
来年は役員改選があり、次の3年間、第63回神宮式年遷宮の国民奉賛や、本庁設立80周年などの重要案件を担う執行部を選任することになります。
それに相応しい執行部を誕生させるには、総長選任裁判でも明らかとなった神社本庁庁規の解釈を巡る問題も踏まえた上で、神社本庁憲章に基づく真摯な議論が不可欠です。
その為に、統理の意思として、役員会の議決を尊重して田中氏を総長に指名し、残任期間の庁務を関連規定のもとで遂行せしめ、まずは神社本庁の将来を関係者全体で議論してゆく下地をつくり、次の執行部へと引き継いでゆくことが必要急務であると考えました。これが、私が田中氏を総長に指名した理由です。」
Q 神社本庁は公式ホームページに、「総長指名に関するお知らせ」を公開し、田中氏の総長指名に至る経緯とともに、芦原理事側の処分にまで言及していますが。
「私が田中氏を指名した理由は前述の通りです。また、芦原理事や西高辻理事に対する問責決議や他の関係者に対する処分についても言及していますが、それは、私が田中氏を総長に指名した本意とは、全く相容れないものであることを申し添えます。」
「■おわりに
田中氏は統理に対し、執拗に総長の指名を求め続けてきましたが、指名を受けた後も、鷹司統理の真意を全く意に介さず、「統理の補佐」といふ総長の役割を放棄し、役員会の多数決をもって庁務を遂行しようとしています。このままでは、式年遷宮をはじめとする重要課題に、斯界が一丸となって取り組むことなど、出来るはずはありません。
私どもは従前から表明している通り、最高議決機関である評議員会において、一連の問題について徹底的な議論がなされ、解決に向かうことを切に望むものです。関係者におかれては引き続き、力強い正常化への声を挙げて戴くようお願い致します。」