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「神社本庁憲章」と「総長選任問題」-10号・11号を読んで-
(『花菖蒲ノ會』会報 第12号)

花菖蒲ノ會 会報12号_ページ_1
花菖蒲ノ會会報12号に、10号11号に対する感想を稲貴夫氏(神社本庁参事)が寄稿している。

稲参事と瀬尾参事が、昨年、小野貴嗣氏(東京都神社庁長、神社本庁常務理事)と本部雅弘氏(宮崎県神社庁長、神社本庁評議員)に送付した、両庁長の「名誉棄損発言」に対する質問書(内容証明)に対し、両庁長は、完全に無視を決め込んでいるらしい。

小野貴嗣庁長は、去る令和4年4月26日に明治記念館にて開催された「神社本庁評議員一都七県の会」の席上、その数日前に終結した神社本庁職員の地位確認等請求訴訟の原告であった稲貴夫氏と瀬尾芳也氏に関し、東京都神社庁からの提案文書として、稲氏と瀬尾氏が上記訴訟において
「自らを『労働者である。』『神社本庁憲章は関係ない。』と主張した」「全国の神職を指導すべき立場にある神社本庁幹部職員として、あるべき姿に悖るものであり、到底容認できるものではありません。」
と記載した「上申書」と題する文書を副庁長に配布させ、議案としての採択を求めるとともに、当該会議の出席者に「進言者」として署名するよう求めた。

本部雅弘氏は、同年5月27日に開催された、神社本庁定例評議員会に宮崎県神社庁選出の評議員として出席し、百数十名の評議員や本庁の役職員らの面前で、
「原告らが、裁判の中で、『原告らは労働者であり、本庁憲章に定める神職ではない』とはっきり発言している。そこで、本庁は、本庁と全国神社を守るために、最高裁まで争う決定をしたんだ。」
と発言。

当然のことながら、上記訴訟において稲氏や瀬尾氏が当該文書に記されたような主張をしたことは一度もなく、小野貴嗣庁長が配布させた「上申書」にも、本部雅弘評議員の評議員会での発言にも 明らかに虚偽の事実が含まれており、このような虚偽の事実を記載した文書を多数の出席者に配布することは、神職である原告らの名誉と尊厳を著しく毀損するものであるとして、稲氏と瀬尾氏は、代理人弁護士を通じて抗議していたが、小野氏も本部氏もこれを完全無視。

今年4月に入り、稲氏と瀬尾氏は、小野庁長と本部庁長に再通知をしたが、小野氏も本部氏もいまだに無視を続けているらしい。

言うまでもなく、神社本庁の神職にとって「神社本庁憲章」は。根本規範である。
自らの保身のために神社本庁憲章を軽視する田中執行部の面々や子飼い職員らであればともかく、実直で敬神崇祖の念の篤い稲氏や瀬尾氏が、自ら「神社本庁憲章は関係ない」「自分たちは神社本庁憲章に定める神職ではない」などと発言したなど大衆の面前で指摘したのは、あきらかに稲氏と瀬尾氏を貶めるためにする意図的な印象操作にほかならない。

「花菖蒲ノ會」会報12号によれば、稲氏は、両庁長に対する法的手続も辞さない構えだという。
花菖蒲ノ會 会報12号_ページ_2

原告の稲氏は、先の懲戒処分無効・地位確認訴訟において、裁判所に提出した陳述書の末尾において次のように述べている。

「被告神社本庁側は裁判の過程で、『神社本庁憲章』を根拠に私の懲戒処分の正当性を主張しています。昭和55年に制定された『神社本庁憲章』は、全国神社の包括法人である神社本庁が、庁規に基づく法人的な側面だけでなく、精神的な規範も含めた、神社や神職などの在り方を成文化した、ぜんぶで十九条からなる神社本庁の憲法とも言うべきものですが、私がそれに反したとの主張には大変驚きました。
私は調査室に勤務していた平成8年頃、教学研究所に保管されていた神社本庁憲章の制定にいたる会議資料等をもとに『神社本庁憲章制定の経緯』という叢書を編集する作業に従事しました。私は5年の歳月を要した憲章の制定にいたる殆どの資料に目を通したつもりですが、制定に携わった当時の関係者が今の神社本庁の有様をみれば、現在の神社本庁執行部及びその取り巻きこそが、神社本庁憲章の精神に反していると断言すると考えます。」