最高裁、芦原氏側の上告を退ける!
(令和6年10月2日)
神社本庁総長の選任方法が争われた代表役員地位確認訴訟について、最高裁判所は、令和6年10月2日、芦原理事側の上告を退ける決定をした。最高裁判所は決定において、主文において「上告棄却」「上告審として受理しない」と結論のみを示し、争点であった総長選任手続についての判断は示さなかった。
一審の東京地裁は、「役員会が議決で決定していない以上、総長には就任していない」として芦原理事側の訴えを退け、二審もこの判断を支持したことから、芦原理事は最高裁判所の判断を求めて上告していたが、今回の、最高裁決定ににより先の高裁判決が確定し、統理が指名した芦原宮司の総長就任がなくなり、統理の指名を受けていない田中氏が、引き続き総長の地位に「なほ在任」することとなった。
この決定を受けて神社本庁が開いた記者会見の席で、「なほ在任」が決まった田中氏は、「最高裁の判決が出て、役員会組織も含めた混乱が収拾されると思っております。」と述べたそうだが、他方の、統理を支え神社本庁の正常化を目指す『花菖蒲ノ會』は、この最高裁決定に対し、以下のコメントを発している。神社本庁の自浄が実現しない限り、混乱の収束は期待できないであろう。
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【令和6年10月2日最高裁判所第三小法廷による上告棄却・不受理決定を受けて】
・この裁判は、神社本庁における総長の選任は、統理による指名にあたり役員会の決議が必要か否か、が争点であったが、当方の主張が認められなかったことは残念である。
・しかし、宗教法人法がいうところの神社本庁の規則にある「別段の定」である統理による指名の効力が否定されたわけではなく、今回の最高裁の判断によって、直ちに総長選任問題が解決されるわけではない。
・鷹司統理が田中恆清氏を総長に指名しない理由は、神社本庁の所有する不動産の廉価売却や、それを内部告発した職員への懲戒処分など、包括宗教法人にあるまじき田中氏側のこれまでの組織運営にある。
・懲戒処分の無効確認訴訟では、令和4年に最高裁で神社本庁の全面敗訴が確定したが、この訴訟を通じて、神社本庁の不適切な不動産売却や背任疑惑、特定の企業との癒着、恣意的な人事の問題などが次々と明るみとなった。しかし、その後もなお田中氏ら執行部は誰も責任も取らず、代表役員からの謝罪すらない。
・特に公益通報問題について、神社本庁においても兵庫県と同様のことがあったにもかかわらず、未だに内部通報制度すら設けられていない。このような体質を最も危惧する故に、統理は田中氏を総長に指名しないのであり、今後も田中氏が総長に選任されることはない。
・今回の最高裁判決については真摯に受け止める必要があるが、神社本庁憲章の精神に立ち返り、現在の神社本庁の体質そのものの見直しがなされなければならない。次期総長には、それにふさわしい者が指名されることを期待したい。
ーー令和6年10月3日 花菖蒲ノ會ーー
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最高裁判所令和6年10月2日決定
地裁判決によっても高裁判決によっても、統理の指名権が役員会の議決に拘束されることはない。
統理の指名と役員会の議決とが一致しなければ、新たな総長は選任されないのであるから、役員会の場では結論が出ないのである。
よって、最終的には、
よって、最終的には、
・統理の指名があるが、役員会の議決がない芦原氏
・統理の指名はないが、役員会の議決がある田中氏
どちらが、統理の命を受けて統理を補佐すべき立場の総長として相応しいか、神社本庁の最高議決機関である評議員会にその判断が委ねられることとなろう。
芦原氏側の「上告理由書」